吹割の滝(ふきわれのたき)は、群馬県沼田市利根町に位置し、別名「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる日本を代表する名勝です。国指定の天然記念物、日本の滝百選にも選ばれています。
それではなぜ「東洋のナイアガラ」と呼ばれているのでしょうか。
「滝」と聞くと、一般的には山の高いところから流れ落ちるものを想像しますが、吹割の滝の落差は7mしかありません。
では、下の写真をご覧ください。
そうです!「吹割の滝」は「ナイアガラの滝」と同様、横になが~い、上から見下ろす珍しい滝です。
落差約7メートル、横幅は約30メートルにも及ぶ、ダイナッミックさ、
まるで大地が裂けたかのような大岩から、ごうごうと水しぶきを吹き上げ流れる様は大迫力です。
さらに、異世界へワープしたような感覚にさえなる吹割渓谷に身を包まれ、圧巻の眺めです。
吹割渓谷の紅葉
上から見下ろす珍しい滝です。
私たちはここで働いておりますので、もちろん何度も吹割の滝へ行ったことがありますが、
1日として同じ日はありません。
水量、水のにごり、透明感、天気による見え方の違い、空気感、温度、湿度、鳥や虫の声、
森の木々の色は本当に毎日変わるのがわかります。
吹割の滝の大迫力を満喫したあとは、吊り橋を渡って静かな遊歩道を散歩するのもおすすめです。
リフレッシュされたすがすがしい気持ちになれます。
吹割の滝は、「吹割渓ならびに吹割瀑」として1936年(昭和11年)12月16日に国指定天然記念物、名勝に指定されました。「凝灰岩(ぎょうかいがん)とその浸食地形ならびに渓谷美」が着目され、文化庁(旧文部省)によって登録されました。文化庁によると、天然記念物とは「山岳等の名勝地で我が国にとって芸術上または鑑賞上価値の高いもの」「植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもの」(一部抜粋)と定義されています。
吹割の滝は、溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)と呼ばれる岩石からできています。この岩石は900万年前の火山の噴火に伴って冷え固まったもので、その後長い長い年月をかけ浸食を繰り返し、現在の形になったのはおよそ1万年前とされています。
整備された遊歩道を越えた先に、900万年前にできたとされる凝灰岩の上を実際に歩くことができます。ゴツゴツしていて歩きにくいですが、ぜひ歩いて、触れて、地球の割れ目に立っているかのような感覚を体感してください。
天然記念物指定区域は、31.8ヘクタールにも及びます。
さて吹割(ふきわれ)というのは、地図にある地名ではありませんが、地元の私たちは伽羅苑のある「沼田市利根町追貝周辺」を指して単に「ふきわれ」と呼んだりします。
「吹割の滝」の名前の由来は、この特徴的な地形の見た目からきています。
片品川の清流が凝灰岩・花崗岩を侵食し、川底に多数の割れ目をつくりだした形が、あたかも巨岩を「吹き割れた」ようにみえること、その巨大な岩が吹き割れたところ三方向から流れ込む大量の河水が滝壺に跳ね返り、吹き上げる様子から名づけられたと考えられています。
映画のワンシーンのような、美しく荒々しい地形と水しぶき、迫力のサウンドは心揺さぶられる絶景です。
近年では「パワースポット」としても人気を博しています。
また、吹割の滝近くにある県立尾瀬高校では、水質調査や渓谷を守る課外活動を行っています。
吹割の滝は、2000年に放送されたNHK大河ドラマ「葵 徳川三代」のオープニングに起用されたことで、さらに知られるようになりました。家康を津川雅彦さん、秀忠を西田敏行さん、家光を尾上辰之助さんが演じられた今に語り継がれる名作です。
作曲家 岩代太郎氏が手掛けたオープニング曲の後ろに流れる滝の映像を見た視聴者の方から、
「オープニングの滝は、どこの滝ですか?」とNHKに問い合わせが殺到したそうです。
「上毛かるた」をご存知でしょうか。
上毛かるたは昭和22年に作られた、郷土かるたです。群馬県の子供たちは、小さいころから遊びの一つとして上毛かるたを覚え、小学校や地域の子ども会などでも教わります。絵札と読み札に分かれ、県内の自然や温泉、歴史上の人物や産業など、群馬の特徴が計44句、七五調で詠まれており、毎年各地で「上毛かるた大会」が開かれています。
絵札からも滝の力強さを感じます。
県外のお客様や、上毛かるたをご存知ない方にも、ぜひ知っていただきたい一枚です。
吹割の滝は「日本の滝百選」(日本百名瀑)にも選定されています。群馬県ではこのほか、
草津町の「常布の滝」、渋川市の「棚下不動の滝」が選ばれています。
吹割の滝を真上から見ると、白くしぶきをあげているところに「日本列島」のようなかたちが
浮かび上がります。遊歩道の第一観瀑台よりご覧頂くことができます。
間近でみる大迫力の吹割の滝は壮観ですが、木々の温もりや静けさを浴びながら
ゆっくり時間をかけて散策し、美しい滝を見下ろすのもおすすめです。